古本とコンピュータ 3.0

古本屋と情報処理とそれに関連する話題

あれから12年半

最後の日記を書いてから12年半の歳月が流れた。この間、知り合いのほとんどの古書店は倒産してしまった。古本屋は今や絶滅危惧種である。90年代に業界を撹乱したブックオフも書籍販売で苦戦を強いられている。BtoCの商売としての古本屋はもうダメなのである。本そのものの販売は儲からない。したがって、古本屋とカフェの結合、古本とライフスタイル提示業の結合は盛んである。ロハス系の特定の層にはアピールできることだろう。

古書店をめぐるコンピュータの環境もすっかり変わった。Amazonマーケットプレイスの一人勝ちが明らかになった。古書組合加盟古書店であれば、Amazonで売れない書籍は「日本の古本屋」で販売するかもしれない。「日本の古本屋」は数年前のリニューアル後にとうとう書誌情報とそれを参照しながら作成される商品情報のデータベースのテーブルが分離された。(なお「日本の古本屋」のシステム「ZIZAI」はオープンソースらしい。どこかにソースがあるのだろうか。)

個人で作成する在庫管理システムは、12年前はPHPを使って自作するか、osCommerceを利用するくらいしか簡単な選択肢がなかったが、現在ではPHPフレームワークRuby on Railsが簡単に利用できるようになった。

以前は莫大な投資額が必要であったPOSシステムは、iPadとハンディスキャナを利用する簡易システムが開発されることで、安価に導入できるようになった。アマゾンや国会図書館の書誌情報データベースはAPIが公開されている。こっそりと利用している書店もあることだろう。安価な単品管理がすぐ手の届くところにある。

なお、先に述べたように、そもそもBtoCの商売としての古本屋はもうダメなのである。時代はCtoCであったり、シェアであったりする。「モノのコンピュータ」が発達して全ての物理的な書籍がネットワークに繋がるようになれば、CtoCの書籍のやりとりはより簡単になり、仲介業者は不要になることだろう。だが、まだそれまでには数年の時間があることだろう。この間まだ何かやれることはあるだろうか。そんなことをふと考えた。